保守政権が導入すべき少子化対策
長谷川三千子さんが年頭にあたり妙なことを産経に書いていた模様。
〔……〕百年後の日本の人口は現在の3分の1の4000万人になるといいます。そして西暦2900年には千人となり、3000年にはゼロになるというのです
千年後というと遠い話のようですが、もし現在の日本の1・41という出生率がこのまま続いてゆくならば、これは確実に到来する未来なのです。しかも、それを食い止められるチャンスは、年が経(た)つほど減ってゆく。半世紀後には、出産を担う年齢層(25歳から39歳)の女性の数が現在の半分以下になります。そうなると、出生率が倍になっても、生まれてくる子供の数はようやく今と同じ、ということになる。そうなってからでは遅いのです。
〔……〕
ではいったい、この問題をどう解決したらよいのか? 実は、解決法そのものはいたって単純、簡単です。日本の若い男女の大多数がしかるべき年齢のうちに結婚し、2、3人の子供を生み育てるようになれば、それで解決です
〔……〕
〔……〕ところが、政府も行政もそれを大々的に国民に呼びかけようとは少しもしていない。〔……〕
〔……〕
〔……〕「性別役割分担」は、哺乳動物の一員である人間にとって、きわめて自然なものなのです。妊娠、出産、育児は圧倒的に女性の方に負担がかかりますから、生活の糧をかせぐ仕事は男性が主役となるのが合理的です。ことに人間の女性は出産可能期間が限られていますから、その時期の女性を家庭外の仕事にかり出してしまうと、出生率は激減するのが当然です。そして、昭和47年のいわゆる「男女雇用機会均等法」以来、政府、行政は一貫してその方向へと「個人の生き方」に干渉してきたのです。政府も行政も今こそ、その誤りを反省して方向を転ずべきでしょう。それなしには日本は確実にほろぶのです。
長谷川三千子「年頭にあたり 「あたり前」を以て人口減を制す」 (2014-01-06) {http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140106/fnc14010603200000-n1.htm}
TFRを「出生率」と呼ぶのはやめてほしいような気がする。せめて「出生力」と呼んだほうが混乱が少ないだろう。「政府」と「行政」は別物というスタンスのようだし、「出産を担う年齢層(25歳から39歳)」とか「昭和47年のいわゆる「男女雇用機会均等法」」とか、どういう政治学的・人口学的・法学的・歴史学的認識にもとづいて物を考えてるのかちょっとわからんのだが、それはともかく。
子供2人に専従の養育係を1人つけて、他の収入源なしで標準的な生活をさせようと思ったら、子供ひとりあたり月20万円くらいの給付が必要。つまりこの意見から導出される具体的な政策は、子ども手当を復活させて金額を1桁あげろ、ということになる。「それなしには日本は確実にほろぶ」らしいので、ぜひ自らの信念にしたがって政府と行政を動かすべく努力していただきたいところである。
つづく → 「なぜ子ども手当を復活させるべきなのかについてのイデオロギー分析」 (2014-02-04)
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