毎月勤労統計調査問題における政府と専門家:データに基づく批判の不在 (社会政策学会第144回大会, 2022-05-14)
Full paper and related information: http://tsigeto.info/22y [2022-05-06追記]
Paper title: 毎月勤労統計調査問題における政府と専門家:データに基づく批判の不在
Author: 田中 重人 (東北大学)
Abstract: 政策の合理性は、データと論理に基づく批判的コミュニケーションによって支えられる。そのようなコミュニケーションの担い手としては、政府、専門家、非専門家の3者がありうる。本研究では、2018年末に不正が発覚した厚生労働省「毎月勤労統計調査」について、2019年以降に独自のデータ分析による問題の告発があったケースを収集した。そうした告発は数としては少ないが、そのなかでは非専門家が無視できない役割を担ってきた。一方、専門家 (統計学者や経済学者等) の活動は不活発ないし非効果的であり、政府 (厚生労働省以外の部門) によるものは皆無であった。報告においては、これらのケースについて、どのようなデータに基づいてどのような問題が告発されたかを紹介するとともに、政府が政策立案に利用するデータについての効果的な批判的コミュニケーションを成立させる条件について考察する。
Conference: 社会政策学会 第144回大会 (2022-05-14..15, Online)
Session: 自由論題【A】労働政策 (2022-05-14 09:30-11:30)
Paper title: 毎月勤労統計調査問題における政府と専門家:データに基づく批判の不在
Author: 田中 重人 (東北大学)
Abstract: 政策の合理性は、データと論理に基づく批判的コミュニケーションによって支えられる。そのようなコミュニケーションの担い手としては、政府、専門家、非専門家の3者がありうる。本研究では、2018年末に不正が発覚した厚生労働省「毎月勤労統計調査」について、2019年以降に独自のデータ分析による問題の告発があったケースを収集した。そうした告発は数としては少ないが、そのなかでは非専門家が無視できない役割を担ってきた。一方、専門家 (統計学者や経済学者等) の活動は不活発ないし非効果的であり、政府 (厚生労働省以外の部門) によるものは皆無であった。報告においては、これらのケースについて、どのようなデータに基づいてどのような問題が告発されたかを紹介するとともに、政府が政策立案に利用するデータについての効果的な批判的コミュニケーションを成立させる条件について考察する。
Conference: 社会政策学会 第144回大会 (2022-05-14..15, Online)
Session: 自由論題【A】労働政策 (2022-05-14 09:30-11:30)
Related articles
- 毎月勤労統計調査問題における政府と専門家:データに基づく批判の不在 (社会政策学会第144回大会, 2022-05-14) (2022-05-14)
- クラスター対策とは何だったのか: 日本のCOVID-19対応にみる非合理的コミュニケーション (関西社会学会第72回大会, 2021-06) (2021-06-05)
- 「3密」概念の誕生と変遷: 日本のCOVID-19対策とコミュニケーションの問題 (『東北大学文学研究科研究年報』70号) (2021-03-19)
- Politics of Double-Meaning Buzzwords: The High-Context Usage of the "Three Cs" Concept of Japan's COVID-19 Response (under review) (2021-03-19)
- Preprint 「「3密」概念の誕生と変遷: 日本のCOVID-19対策とコミュニケーションの問題」 (2020-10-07)
- 感染症対策「日本モデル」を検証する: その隠された恣意性 (『世界』934号) (2020-06-21)
- 2月2日(日)連続勉強会:「国難」のなかのわたしたちのからだ 第5回「STOP! 自治体の道徳PR事業」(渋谷アイリス) (2020-02-02)
- Political Vocabularies and Localized Discourses on Demographic Transition: The Emergence of the 'Syousika' Problem in 1980s Japan (RC06-VSA Conference, Oct 2019, Hanoi) (2019-10-18)
- 独自研究に基づく政策立案:EBPMは何をもたらすか (日本家族社会学会第29回大会, 2019-09 神戸) (報告申込済) (2019-09-14)
- 7月21日(日)連続勉強会:「国難」のなかのわたしたちのからだ 第4回「人口政策に組み込まれた「不妊」」(東京麻布台セミナーハウス) (2019-07-21)
- 5月11日(土)連続勉強会:「国難」のなかのわたしたちのからだ 第3回「優生保護法の負の遺産」(東京麻布台セミナーハウス) (2019-05-11)
- 研究報告「「少子化」観の形成とその変化:1974年から現在まで」(2019-03-24 東京 <連続勉強会:「国難」のなかのわたしたちのからだ> 第2回) (2019-03-24)
- Preprint: Monthly Labour Survey Misconduct since at Least the 1990s (Tanaka S. 2019-03-05) (2019-03-06)
- 「毎月勤労統計調査」は90年代以前から改ざんされていた?: データ改ざんに甘い社会 (wezzy 2019-02-07) (2019-02-09)
- 「少子化」論の変遷:日本社会は何から目を背けてきたのか (科学技術社会論学会 第17回年次研究大会 2018-12-08 東京) (2018-09-19)